・日時:平成23年(2011年)8月27日(土曜) 10:30〜17:30(予定)
選考委員のコメント 神吉紀世子氏(京都大学 教授) 頼もしい学生の方々の活動を具体的に聞かせていただき、大変参考になりました。小中高校生が活動しているまちづくりは、全国にはいくつもあると思います。しかし、本当の活動の中心的主体になっておられる事例はそう多くはないかもしれません。 「子どもの参画」の議論では若い世代の人たちが参画するまちづくりのもっとも高いステージは、若い世代の人達が考え、行動し、さらに自分のまわりに影響を広げて、本当の主体になることだと言われています。「えき・まちネットこまつ」はまさにこの事例だと大変感銘しました。また、全国の公共交通のなかには、きびしい状況にあるところがいくつもあると思いますので、多くの人達にたいへんな勇気を与える事例だと思います。こうした活動が、全国に広がっていくといいなあと心から思います。
選考委員のコメント 神吉紀世子氏(京都大学 教授) 耕作放棄地や廃校になった建物などを活用する活動は各地にあると思いますが、「森の学校」のすばらしい点は、一度使われなくなったところをもう一度現役の場所として蘇らせるところだと思います。なかでも、耕作放棄地は無農薬の取り組みの適地であるという指摘には、目から鱗が落ちる思いがしました。また、そのことが、もう一度活動させていく取り組みにとってどれほど大きな役割を果たすのか、とても印象的でした。 報告では会場に木の種を飛ばしたりと、二つほど“飛び道具”が登場し楽しむことができました。活動を説明する際にはいろいろな表現をしていかなればいけないのだな、とも改めて感心しました。
選考委員のコメント 神吉紀世子氏(京都大学 教授) 「池尻ロマンス座」の報告でもっとも印象深かったのは、親子関係や、おじいさん・おばあさんと孫、という家族の世代間の伝承ではなく、場所や地域のつながりによる個人と個人の関係の中であっても、記憶や思い出、昔の話や知恵をきちんとつないで伝承していけるということです。何かの縁で集まってきた他人同士であっても、その人達の間で世代を超え、近しい形でものごとを受け継ぐことができるということはとても重要なことです。こうした地縁や血縁ではない人達が集まる形でいろいろな価値あるものごとが継承されていくという現象は、都市的なことであるように見えますが、農村を含めてどこでも必要なことではないかと思います。 また、そうした場では、それぞれの人の恋愛や結婚の話がきっかけになることが多いということは非常におもしろいと思いました。個人的な話題のようにみえて世代を超えてみんなが話せる話題なのだということは印象に残りました。
選考委員のコメント 図司直也氏(法政大学 准教授) 「ねまりや建ち上げの会」は、暮らしの中に根付いた子どもたちの学びの場を作っていく活動ですが、そこに踏み込んでいく過程で、子どもたちの背後に地元の学生のみなさんが関わり、それに地元の手に職をつけた方たちが見守り、さらに何をやっているかは知らずに興味を持って寄って来るおじいちゃんたちが囲んでいくという、子どもたちへの囲み方がとても素敵だなと思いました。また、そうしたことを含めて、「ねまりや」の場づくりが非常に素敵だなと思いました。 報告の中で「地元のじじ・ばばの知恵を譲ってもらう」というコメントがありましたが、この「譲ってもらう」という地元に対する謙虚な姿勢が、地域の人達の思いを呼びよせているのではないでしょうか。 おそらく、今後登場する人達は、地域のおばあちゃんやお母さんたちではないかと思います。「暮らし」というところに立つ時に、経験豊かな女性たちが出番を控えて待っていらっしゃるのではないでしょうか。主催者は、おそらくそのあたりのことも念頭に置かれていると思いますが、ぜひ地域ぐるみで巻き込んでいくような活動に育てていただきたいと思います。 そうすることで、いまは手弁当でやられている活動が、地域の人達やよそ者達によって「ねまりやさんの活動をどう支えていけばいいのか」と、経済的な部分も含めて議論していく場としても育っていくのではないかと思います。
選考委員のコメント 矢郷恵子氏(KOPA 代表 毎日の生活研究所 代表) 最初にこの団体名を聞いた時は、どこでなにをやっているのだろうかと戸惑いました。しかし、本日の報告を聞き、対象地域の人達に声をかけ、相手も声を出すようになり、会話をするようになって言葉というセンテンスが表れ、こころを取り戻していく。そんな過程を釜ヶ崎という地域で行っていることが理解でき、納得できました。 「コミュニティ」という言葉が初めて英語に登場するのは12世紀の終わりだと聞いたことがあります。修道院の活動を通して生まれてきた言葉で、そこで共同で暮らし、作物を育て、それを販売して収入を得ていくことがコミュニティの原点ですが、さらに大事なことは、コミュニティには宗教があるということです。つまり、こころの部分がきちんとしていないとコミュニティは育たない。「こえとことばとこころの部屋」の活動は、こころをどう育てるかということを大切にしていて、それがまさにコミュニティを作る大きな原点になっていくのだと感じました。 アメリカでは、コミュニティデザイナーという専門家が、ホームレスのように社会に恵まれない人たちに仕事をつくり、生活をつくり、最終的には尊厳とのふれあいを育てていく活動、「生きていてよかったなあ」と感じられる社会を作っていくための活動がありますが、そうした活動が日本にもあるのだと勇気づけられました。 頂いたパンフレットに英訳がつけられていました。これは釜ヶ崎には英語を話す短期滞在者のような方がたくさんいるからだそうです。こういうところに目を向けるところにも心遣いを感じます。
(手嶋尚人氏は都合により欠席されました)
私は、もともと農学部で農業経済を専攻し、特に中山間地域や過疎地域など条件不利地域に赴いて、現場のみなさんのお話を聞かせていただいたり、お仕事をさせていただいています。期せずして、私が現場を歩いて感じている部分と重なる3つの事例へコメントをさせていただきました。この3つ以外にも感動した事例がいくつもありましたが、ハウジングアンドコミュニティ財団の助成が、さまざまな活動のプロセスを積み上げて歩まれているというところに価値を見出しているのだということを改めて思いました。