1.えき・まちネットこまつ(山形県川西町)
活動名:町民駅を中心にしたまちづくりとひとづくり
<概要>
JR羽前小松駅は管理組合が駅の業務を行う「町民駅」だったが、管理組合が廃止されるのに伴い、高校生と住民が中心となって駅の管理を受託するために当団体が設立された。駅の業務管理だけでなく、都市のNPOとの交流、特産品の開発・販売、観光案内や情報発信等、駅を拠点として広域的に地域の活性化を目指している。
<評価>
これまでにも高校生の感覚を活かした特産品を開発するなど、若者が核となった地域活性化の実績は頼もしい。さらに来年度は、都市との交流や産直店の新設、イベントの開催等を通して、高校生・住民と来訪者間のコミュニティの醸成を図ることを予定している。まちの活性化への基盤づくりとまちの将来を担う人材育成が期待される。
2.特定非営利活動法人森の学校(栃木県那珂川町)
活動名:月島・健武 もんじゃでどんなもんじゃ
<概要>
これまで15年間にわたり廃校を拠点に子どもの環境教育活動を実施してきた団体。使用していた校舎の老朽化に伴い、栃木県那珂川町に新たな拠点(廃校)を得て、農山村の住民と都心の子どもたちの交流活動を推進する。都心の食材からできた堆肥を活用した野菜づくり等の協働作業を通じ、木造の学校を核とした新たなコミュニティの再興を目指す。
<評価>
一度は門を閉ざした学校に、再び子どもの声が響きわたり、新たなコミュニティが形成されることが期待される。これまで地方での活動にのみ目を向けてきたが、NPOの所在する月島のもんじゃの食材にも注目し、農山村の耕作放棄地の活用という双方の地域資源を結ぶユニークな活動は、都心と農山村の新たな結びつきと相乗効果が期待される。
3.池尻ロマンス座(東京都世田谷区)
活動名:映画のような「まち」づくり〜映画で地域の活性化を
<概要>
世田谷区の廃校で、月に1回古い日本映画の鑑賞会を開き、地域の高齢者や若者など、多様な人々の交流による地域コミュニティの醸成を推進してきた団体。地域の高齢者の青春時代の聞き取り調査を基にドキュメンタリー映画を制作し、区内で上映する。映画により廃校を住民の情報発信の拠点として位置づけようとしている。
<評価>
聴き取り調査、それを基にした脚本づくり等、住民の手による映画制作そのものをまちづくりとする手法は、新鮮で訴求力が感じられる。高齢者と若者以外にも商店街や町会、教育施設など、多様な主体が一丸となって、地域を映画のまちとして内外に発信していく足がかりが築かれることが期待される。
4.いのちとくらしのフリースペース ねまりや 建ち上げの会(新潟県佐渡市)
活動名:子どもと共にてしごとから暮らしのいのちを発掘する
<概要>
子育て中の母親が中心となって、各人の自宅を持ちまわりにより、地域の子育てスペースとして活用する活動を行ってきた団体。メンバーが所有する納屋を、地元の古老の指導を受けながら子どもと共に改装し、地域の人や技術が行き交う居場所をつくる。将来は家具や食器づくり、農作業などへと拡大し、手しごとの文化の発展と継承を目指す。
<評価>
子育てを軸として、新旧住民が、地域資源を活用して手づくりでコミュニティスペースをつくりあげようとしている姿に共感が持てる。佐渡における伝統や技術が、暮らしの中で見直され、自然に受けつがれていくことが期待できる。主なメンバーである移住者が、しがらみや因習にとらわれず、離島での地域文化の再生に果たす役割は大きい。
5.特定非営利活動法人循環の島研究室(新潟県佐渡市)
活動名:「生きものとの協働」拠点整備による限界集落再生
<概要>
環境保全や伝統文化の継承に関する研究、実践を佐渡で行ってきた団体。これまでに都市部の若者を招いて、地域の薪能や牛耕技能の維持・継承に努めてきた。団体に無償貸与された旧公民館を、薪能と牛耕を軸とした拠点として整備することで、島内外の人々の交流を進め、将来的には能や牛耕にまつわる商品開発に発展させることを目指している。
<評価>
離島の限界集落に多様な人が訪れ、地域の文化や農業、自然に新たな魅力が見出される可能性がある。日頃は牛で田を耕し、山仕事を行い、休みの日には能の稽古をして、年に1回の薪能でその成果を披露するというライフスタイルを島外からの来訪者と共有することにより閉塞感のある地域の再生につながることが期待される。
6.八尾スローアートショー実行委員会(富山県富山市)
活動名:地域とアートと学校と〜拠点化と継続化を目指す
<概要>
過去6年間にわたり、学校や空き家を活用して、アートを通じて若い作家と地域住民との交流イベント「八尾スローアートショー」を開催してきた団体。これまで活用してきた富山市最古の木造校舎が休校舎となったことから、当該校舎を拠点化してイベントを継続することで、アートによる地域づくりをさらに浸透させることを目指している。
<評価>
これまでの実績が中山間地域でのコミュニティづくりに貢献し、住民との協力体制が整い地域から一定の賛同も得ていることから、イベント継続の意義は大きく、地域の活性化に寄与することが期待される。さらに旧校舎に新たな機能を持たせることで、地域住民の心のよりどころを維持することも可能となる。
7.特定非営利活動法人こえとことばとこころの部屋(大阪府大阪市)
活動名:生活保護受給者の地域貢献活動参加および生きがい作りプログラム
<概要>
大阪市西成区、通称釜ヶ崎において、アートを活用した「こえとことば」の表現を通して豊かな市民社会の実現を目指している団体。地域の子どもの施設や生活保護受給者の高齢者施設で、表現活動のボランティアとして生活保護受給者や労働者に参加してもらい、自尊心の回復、社会参加や地域コミュニティ構築への関心を喚起することを目指している。
<評価>
これまでの団体の活動により、生活保護受給者や労働者が活動の担い手として地域社会と関わることとなった意義は大きい。路上生活経験者が参加する路上生活者への夜回りは、社会全体へ貧困問題を訴えるメッセージにもなり得る。事情を抱え地域に住む弱者といわれる人々の心が、表現活動で開放され、生活に生きがいを見出すことが期待される。
8.宇陀松山華小路実行委員会(奈良県宇陀市)
活動名:まちへの気づきと参加のシステムづくり
<概要>
宇陀松山がダリアの球根の生産が日本一であることを知った主婦が中心となり、歴史的な町並みをダリアでアピールするイベントを開催するために設立された団体。「地域の魅力」をテーマにした図案を募集し、その図案に基づき宇陀松山を花で飾る取り組み等を通じて地域の魅力を理解してもらい、地域づくりの担い手を育てる。
<評価>
これまでまちづくりへの関与が乏しかった女性の参加が得やすい取り組みを、継続的に実施していこうとする意義は大きい。また、花絵の図案の募集対象を小中高生にまで広げ、花卉組合との協力関係を作るなど、多様な人が連携して地域の魅力を発信することで、来訪者との交流も生まれ、十分に活用されていなかった地域資源を活かすことが期待される。
9.特定非営利活動法人まちづかい塾(岡山県瀬戸内市)
活動名:「汐まち・人まち・牛まろび」でよっこら処!
<概要>
「まちづくり」から「まちづかい」への移行をテーマに、住民の自主的なまちづくりの呼びかけを行っている建築士を中心とした団体。高齢化と過疎化が進む瀬戸内市牛窓地区の空き家を改装して、コミュニティカフェを開設し、孤立しがちな地元の高齢者の参加をえるとともに、空き家の活用を進める。
<評価>
若者が流出し空き家が増加し、地場産業の衰退が進む地域で、地元に残った高齢者を中心にまちづくりを進めることは意義がある。空き家が高齢者の居場所・就労の場となるだけでなく、地域内外の多様な人々との交流の場となることにより、歴史的なまちなみの魅力が見直され、賑わいの創出が期待される。また、良好な空き家の活用事例にもなり得る。
10.おいもを愛する会(広島県呉市)
活動名:おいもラブ・ステーション・プロジェクト
<概要>
子育て世代や外国籍住民が多い呉市の広地区で、民有地を借用し小学生や住民と芋類の栽培を通して、地域コミュニティの醸成を育んできた団体。これまでの実績を活かし、新たに芋類の栽培育成が可能な場所を確保し、小学生やその親など一緒に栽培を行う参加者を募り、ネットワーク化し、収穫した芋類を活用したイベントを開催する。
<評価>
これまで農作業に従事したことがないまちなかの住民が、「さつまいも」や「じゃがいも」という身近な農産物を協働で栽培し、イベントを実施することで、地域コミュニティが醸成されることが期待される。また、一連の作業に多様な主体が参画することで、まちづくりの新たな担い手を育成できる可能性がある。